今日依頼を受けた新規案件は、某企業の某サービスのタグライン開発。この言葉、少しずつ浸透してきているようだが、一時期の「ブランド」や「インサイト」とおなじで、定義づけが曖昧になっているような。実際のところ、どうなのだろう。スローガン/キャッチフレーズ/タグラインの3つは、業界の中では使い分けがされているが、結構かぶっている部分もあるような…。
世界的に有名なタグラインというと、NIKEの「JUST DO IT.」があるが、これはブランドスローガンと受け取ることもできる。うーん、やっぱり定義って難しいのだろうか。
■スローガン
Wikipediaによれば、企業や団体の理念や、運動の目的を、簡潔に言い表した覚えやすい句・標語・モットーのこと。政治の世界でも使う用語だが、マーケティング分野では、ブランドスローガン、コーポレートスローガン、といった使い方がメインかな。ぼくは「企業やブランドの、消費者に対する約束事(私たちは、ビジネスを通じてこんな価値を提供しますよ)」と理解している。ただし、消費者に向けられるメッセージというよりは、企業/ブランド自身が自らを定義付けし、方向づけし、自らを鼓舞するために用いられる傾向が強いような気がする。
■キャッチコピー/キャッチフレーズ
こちらもWikiで調べてみると、主に商品や映画、作品等の広告など、何らかの告知や宣伝に用いられる文章、煽り文句、とある。これはわかりやすい。キャッチの場合、その言葉が意味することは「セリングポイント」「ライフスタイルの提案」「意外な発見や気付きの提示」「とにかく名前だけでも覚えてね」そして「企業やブランドや商品の、消費者に対する約束事(これを買えば、こんな価値が得られることを保証しますよ)」でもあるので、スローガンはキャッチフレーズの一種である、と言えなくもないかな。
■タグライン
この言葉、残念ながらWikiには項目としては存在していない。「キャッチコピー」の項目には、taglineはキャッチコピーと同義だという説明がある。海外ではそうかもしれないが、国内では別と捉えたほうがいいと思う。
で、その定義だが、ぼくが影響を受けている経営コンサルタントの阪本啓一氏は、このように定義づけている。
タグラインはブランドが約束する価値を要約して説明するものです。
阪本氏はさらに、タグラインと対になる概念として「バイライン」を挙げている。これは
「そのブランドが何をやっているのか・何をやりたいのか」わかってもらうことがバイラインの果たすべき役割です。ブランドやその属するカテゴリーの知名度によって違いますが、顧客のこころの中で、そのブランドが「食品」なのか「車」ポジションをはっきりさせるのです。
と説明している。さらに、具体例まで挙げている。これがメチャクチャわかりやすい。
「冷えピタ超冷却ジェル」
バイライン:新開発 熱発散ジェル
タグライン:高い熱をすばやく冷やす!
出典:『ブランドの授業』阪本啓一著 PHP出版
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