わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

多和田葉子「献灯使」読了

 ここに描かれている未来の少年たちは、絶望という言葉も、恨みという言葉も、おそらくは知らない。現代の言葉でいえば身体障害者なのだろうが、彼らの毎日を紹介するドキュメンタリーを観たときとはまったく異なる感情ばかりがわきおこる。同情ではない。悲嘆でもない。共感でもない。彼らに希望を見いだしたわけでもない。しかし、妙に力強い。これが生きるということなのだろうか…そう思った矢先に、作者は読者をあっさりと裏切る。黙示録的傑作。うん。

群像 2014年 08月号 [雑誌]

群像 2014年 08月号 [雑誌]

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