「破船」。語り手である「私」の少女時代の、映画にまつわる記憶。というよりも、近くの映画館のフロアで見たものと実際に見た(らしい)映画の記憶が、丁寧に、しかしなぜか混濁しているような印象のなかで(一つの文がひたすら長い金井節だからこそそういう印象を受けるのかも)語られていく。混濁しているようなのに、視点はものすごくミクロ。執拗にディテールをほじくり返していく描写。懐かしむというよりも、淡々としていて、感情の起伏はほとんどない。
「破船」。語り手である「私」の少女時代の、映画にまつわる記憶。というよりも、近くの映画館のフロアで見たものと実際に見た(らしい)映画の記憶が、丁寧に、しかしなぜか混濁しているような印象のなかで(一つの文がひたすら長い金井節だからこそそういう印象を受けるのかも)語られていく。混濁しているようなのに、視点はものすごくミクロ。執拗にディテールをほじくり返していく描写。懐かしむというよりも、淡々としていて、感情の起伏はほとんどない。