語り手は夫なのに克明に描写されているのは妻の心理、というねじれた関係の掌編。あり得ないはずなのに小説ではあり得てしまう手法。心理的なかけひきに、妙なリアリティが生じている。おもしろい。心と心のおいかけっこみたいな臨場感があり、おもしろい。 …
一時半、四時、五時半、六時、と麦次郎がアオーンアオーンと猫らしからぬ大声で叫びながら廊下をうろうろするので、今一つ熟睡できていない。目が覚めるたびに声をかけてなだめ、ついでにしたくもない小便をしにトイレに向かう。おかげでおねしょの心配はな…
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