テーマは「バロック」。たんなるバロック文化のなぞりなおしではなく、奇異なる様式美を山本耀司なりに解釈して生まれたダンディズム、といった印象のラインナップ。コレクションで目を引くのは黒地に白い☆を並べた、安倍晴明が見たらよろこびそうなデザインのロングコートだが、残念ながらこれはまだ発売されないらしい。立ち上がりは、カットワークというかスリットがあちこちに空いており、そこにスカーフやストールをつっこんで楽しむという、不思議なデザインのジャケットと、大きなポケットをいくつも配したワイドシルエットのパンツがメイン。素材は得意のウールギャバジンだ。惚れ込んでしまい、今シーズンはこれを購入。おなじデザインコンセプトのシャツ(ブラウス)も豊富だったが、これまで合わせてしまうとかなりクドイ。というか、そこまでやってはじめて「バロック」が成り立つのだろう。
ヨウジのファムは、ワイドでボリューム感のあるコートやファスナーでツナギにもワンピースにもなる不思議な服など。ワイズ(レディス)はパッチワークジャケットに、細いプリーツスカートの下に細身のパンツをはじめから組み合わせた、ちょっとストリートな感じのするラインナップ。ワイズフォーメンは、なんだか今までとかわりばえのしない定番ラインという感じだったなあ。ふつうに着るならコレなんだろうなあ。
チラリとのぞいた「コム・デ・ギャルソン・オム・プリュス」が、十年以上前のデザインテイストにちょっと回帰している感じで驚いた。