わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

堀江敏幸「熊の敷石」

 同タイトルの単行本より。茶色い毛のようなものが生えた暖かな獣道を主人公は歩いている。と思ったらびっしりと熊が敷き詰まっていた。という夢から作品ははじまる。読み進むにつれ、彼がノルマンディ地方にいること、友人を訪ねていること、フランスの書籍を日本に紹介する仕事をしていること、などが少しずつわかる。夢という非現実、空白とも言える部分から作品をはじめ、すこしずつ外枠から作品世界を形作っていく。内容に特異な点はないのだけれど、作品世界の構築手法がちょっと変わっているかな、と思った。さて、冒頭の夢をどこでどのように使うつもりなのか。楽しみ。

熊の敷石 (講談社文庫)

熊の敷石 (講談社文庫)