http://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/07vol04chouju/index.html
「鳥獣戯画」が甲乙丙丁の四つからなること自体、今日はじめて知ったのだけれど、それが一同に会するのはめったにないことなのではないか。どうして四分冊になったのか、だとか、甲の巻の一部はなぜ消失しているのか、だとかあれこれ謎も多いらしく、会場ではボードを使ってそのあたりのこともある程度詳しく説明している。が、そんなウンチクよりも絵を見なければ。四分冊のうち、ぼくらが「鳥獣戯画」と言われてすぐに思い浮かべる、あの猿だの兎だの蛙だのがふざけて遊んでいる絵、あれは甲の巻に納められたもの。乙はドウブツの生態画と呼べそうな内容、丙はニンゲンの遊びとそれを真似ているドウブツたち、丁はニンゲンだけ、と各巻とも内容がまるで異なり、タッチも微妙に違う(丁はタッチとかいうレベルを超えて、かなりひどい落書きっぽいものだったけれど。すくなくともぼくにはそう見えた)。注目すべきは、やはり何も知らないひとも目にする機会の多い甲の巻。絵の躍動感と自由さは、四分冊中イチバンだと思う。実際、これが観ていて一番楽しく、飽きないのだ。この作品、日本のマンガの元祖と呼ばれているが、どちらかというとここでいうマンガとは「AKIRA」でも「天才バカボン」でもなく、新聞の政治面や社会面に載る、政治家をパロったシニカルな一コママンガのことを言っているようだ。したがって、世相に対する皮肉だの批判精神だのといったことばかりが取り上げられているように思えるが、そういった作為なしに自由に、ただただ楽しんで描かれているのではないか。そんなふうに思えた。楽しむことこそ、創造の源。
その他、鳥獣戯画の模本やオマージュ作品(といっても現代作家ではなく、鎌倉移行、明治くらいまでの作品だけど)もいっぱい。こちらは、暁斎と狩野探幽以外は美術的にはイマイチだったかな。このふたり以外の作品は、資料としてしか観れなかった。ただ、お伽草子なんかは作品としておもしろかった。
著作権上、画像の転載はダメらしいので、気になるひとはサントリー美術館のサイトで観てください。
- 作者: 川名淳子,須貝稔
- 出版社/メーカー: 角川学芸出版
- 発売日: 2006/11
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