わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

多和田葉子『ボルドーの義兄』

 ようやくモーリスはベトナムに旅立つ。優奈は留守宅で生活をはじめることになるが、まだまだその描写ははじまりそうにない。とっちらかった記憶のほじくり返しがつづいてゆく。理由はわからんが、遺伝子情報を連想してしまった。
 優奈が家を預かった直後の部分、気になったので引用。

優奈はソファーに腰を下ろし、ちょうど本を読んでいてページをめくった直後のように、まなざしをあらためて、あたりをみまわした。ランプもソファーも壁の絵も、さっきとは違って見えた。新しい住人に気に入られようとして、家が少しずつ変貌していく。優奈は息を詰めて、その変貌を見ていた。

ボルドーの義兄

ボルドーの義兄

ゴットハルト鉄道 (講談社文芸文庫)

ゴットハルト鉄道 (講談社文芸文庫)