「作品7」。部屋に勝手に出入りする猫たちの描写が次第に残酷さ(他者に襲いかかりその命を落としその身を食らう、というドウブツとしての業を愚直に描くさま)をエスカレートさせ、ついには麒麟まで姿を現すようになる。いつの間にか幻覚に支配される日常。いや、猫すらそこにはいないのかもしれない。しかし、猫の素行も麒麟の素行も、おそらくは語り手の精神状態を映す鏡。なんらかの形で現実を投影させているはずだ。まあ、作品自体は小説、すなわち虚構なのだけれど。
「作品8」途中まで。庭の植栽を通じて家の荒れっぷりを、そして家族(というより父)の狂いっぷりを描いている。
- 作者: 色川武大,平岡篤頼
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/05/10
- メディア: 文庫
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