わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

水木しげる「墓場鬼太郎」「河童の三平」

 カミサンが図書館から借りてきた『水木しげる作品集』みたいな本に掲載されていた。鬼太郎は十年くらい前だったかな、マイブームが起きて『その後のゲゲゲの鬼太郎』を含む全作品を読破したのだが、改めて貸本版を読み直すと、やっぱり水木さんはスゲーなあと改めて思った。物語のひな型的な流れに収まることを拒絶するところから物語がはじまる。これって、実はものすごいコトなのだ。
河童の三平」ははじめて読んだが、今まで読んでいなかったことがホントに悔やまれた。牧歌的妖怪漫画だという先入観があったが、とんでもない、現実と非現実、この世とあの世、それらが隣り合わせた位置にいるのが主人公の三平。彼は二つの世界のせめぎ合いの中で翻弄されっぱなしなのだが、決して呑気さを忘れない。たった一人の肉親である祖父が死んでも、(死なないように彼なりの努力はするのだが、いざ死んでしまうと)きょとんとしている。馬鹿だからそうしている、ということではないだろう。三平はあの世を知っている。そして三平は常にあの世の隣りにいる。自分の意思で向こう側に行くことはできないが、向こう側を感じることくらいはできる。向こう側からやって来た死神をおちょくることだってできるだろう。呑気さの裏側にあるとんでもない強さ。その強さが引き出した、妙な魅力に満ちた物語構成。うーん、凄すぎる。

墓場鬼太郎 (1) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-7))

墓場鬼太郎 (1) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-7))

墓場鬼太郎 (2) 貸本まんが復刻版 (角川文庫)

墓場鬼太郎 (2) 貸本まんが復刻版 (角川文庫)

墓場鬼太郎 (3) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-9))

墓場鬼太郎 (3) (角川文庫―貸本まんが復刻版 (み18-9))