「群像」6月号掲載。最後に引用されたのは、古井由吉だった。古井さんは戦中生まれで時折疎開中や終戦直後の記憶を小説に取り入れたりする。しかし思想にまみれたり国の先行きを案じたり個人のアイデンティティの崩壊に危機を感じたり、ということがない。意識はひたすら個人の生(あるいは性)、狂気、魂、そして言葉自体に向かう。その姿勢は戦後文学の終わりの象徴といってもいいのかもしれない。
評論という形態を模した小説の傑作、といっていいかも。源一郎さんには「おつかれさま」と言いたい。長く、たいへんな仕事だったと思う。戦後文学の定義づけには成功したように思える。個人的には、評論という形態そのものをブッ壊すくらいのことをしてほしかたけれど。
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