五時四十分起床。目覚めた時の明るさがかなり違ってきていることに気付く。不安定な空模様で気まぐれに濃淡を変える灰色の低い雲が朝日を遮っているからというだけではなく、確実に日の出の時間が遅れているからなのだろう。わが身体は鈍いのか、ずぶといのかはわからないが、そんな自然の変化、天体の変化、季節の変化には対して順応することもなく、影響されることすらなく、ほぼこの時間に目覚めつづけている。もっとも、その前に何度も目は覚める。覚めるというよりは、覚まさせられる。花子、頼むから熟睡させてくれ。
仕事。集中してMacの画面に向かっていると、ほぼ確実に、花子に邪魔される。独立したてのころは幾度となくデスクの上に乗られ、手元で香箱を組まれたり、当時はまだブラウン管だったディスプレイの上に乗ろうとしたり、キーボードを踏んづけられたり、を繰り返されたが、今ではほぼそういうことはない。デスクの上に飛び乗ろうという気持ちが起きないらしい。そのかわり、床の上に品よくお座りし、顎をやや上に向け、大きく目を見開いて、こちらを見ながら延々と、ナン、ナン、ナーン、フーン、と小さめの声で、しかし強い意志で、抗議しているか苦情を言っているか、そんな表情と声のトーンで鳴きつづける。腹をなでくりまわしてやらないと鳴きやまない。鳴きやんでも、眠ってくれなければ十数分後にはおなじことを繰り返す。猫はしつこい生き物だ。