アフリカの作家、『やし酒飲み』のチュツオーラの、もうひとつの代表作。現代は“My Life in the Bush of Ghosts”。デヴィッド・バーンとブライアン・イーノが同名のコラボ・アルバムを出している。大昔に聞いたなあ…。
父の三番目の妻の次男である主人公は、母の行商中に兄と留守番をしていたところ、戦争に巻き込まれ兄と別れ別れになってしまい、決して近寄ってはいけないと言われている「ブッシュ・オブ・ゴースツ」と呼ばれる地域に迷い込んでしまう。幽鬼(ゴースト)たちがわんさか、うようよ。常軌を逸した展開に驚きっぱなし。そして時々大爆笑。三章目「悪臭幽鬼(ゴースト)」の章の書き出しを少し引用。
その幽鬼の身体には、頭といわず手足といわず、ありとあらゆる種類の蛇やムカデやハエが住みついていた。いろんな蜂や無数の蚊も身体のまわりを飛びまわっているので、それらの蜂や蚊やハエに邪魔されて、ろくに身体が見えないほどだった。おまけに、このおそろしい姿の幽鬼がどこからともなくその家へ入ってきたとたんに、その身体のたまらない悪臭に辟易して、私たちは遠くへ逃げ出してしまい、ようやく二、三分後に引返してきた時にも、やはりその悪臭のおかげで、その家の者たちもじっと立ってはおれないしまつだった。それというのも、彼の身体には糞や小便がいっぱいくっついているだけでなく、いままでに殺して食ったけものの腐った血までが、ぬるぬるとこびりついていたからだった。口はいつも開けたままだったし、鼻や眼は、あまりにもよごれくさり、悪臭をはなっているので、よくは見えなかった。
文化の違いがこんなぶっ飛んだ描写を生み出しているのだろうか。わからん。でもおもろい。