仙台在住の私小説作家の最新作。その舞台は、自分が生まれ育った茨城県・古河。佐伯さんは実際に、縁もゆかりもない古河という土地の工業団地で働いていた経験があるらしい。もともと好きな作家なのだけれど、古河がらみということで読みたくなった。
工場での残業時の休憩の様子から作品ははじまる。気だるさ、頑固さ、いい加減さ、戸惑い、閉塞感、そんなものが、すでにリアルなかたちでごったになっているのを感じる。ちょっと中上作品の土方の現場の描写に近いというか。あそこまで主人公の主観や想いは描かれていないけど。
- 作者: 佐伯一麦
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/12/26
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (31件) を見る