「群像」2014年9月号掲載。「イスラムと反資本主義」。商人の文化が深く根付いているはずのイスラム圏において資本主義および「法人」という概念・制度が発達しなかった理由に、宗教的に利子を取ることが禁じられていることを上げるという視点の問題点を指摘し、同様に禁じられていたはずのキリスト教文化圏ではなぜ資本主義が発達したのか、その文化的・宗教的差異を考察しているわけだが、その展開がおもしろすぎる。自分にとっては、下手な小説を読むよりもエキサイティング。法人の永続性こそが問題とは。なるほど。個人の生存できる時間は限られているが、法人のそれは継承さえできれば無限となる。それが禁忌となるとは。時間すら神の創造物であると考える宗教においては、永続性を求めることは神に逆らうことと同義なのだ。うん。イスラム教は本当におもしろい。日本や西洋とはまったく異なる価値観を持っている。
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