二時三十分、突然電話が鳴った。携帯ではない。固定電話のほうだ。反射的に身体を起こしたが、ワンコールで切れてしまった。誰かが携帯の誤操作でもしたか、とさほど気にせず、中途半端に起き上がらせた身体をもてあますような感覚を引きずったまま、横になりなおし、目を閉じた。寝ようと思えば五分で眠れる。すぐに眠りに落ちたはずだ。だが四時三十分、ふたたび電話で起こされた。また固定電話のほうだ。ワンコール、ツーコール、スリーコール、と四回目で受話器の通話ボタンを押し、もしもし、と出た声が、しゃべりすぎた明石家さんまみたいなかすれっぷりで少々はずかしかったが、そんなことはどうでもいい。深夜の電話は、不吉な連想を呼び起こすものだ。両親に何か起きたか、とつい考えてしまうが、電話はその、かすれ声のもしもしを発した途端に切れてしまった。いたずらなのか、誤操作なのか。少々腹が立ったのと、両親に対する不安が心に居残ってしまったのとで、いつもはたちまち眠れるはずなのに、二十分、三十分、と目は冴えたまま。だが、いつの間にか眠っていた。五時四十五分起床。
麦次郎、おしっこ失敗。だが血尿はまったくない。ひとまず安心。朝っぱらからしつこく叫んでいたのは、血尿が治ったからか、それとも夜中の電話のせいか。外に出せとうるさいので、抱きかかえて朝の善福寺川を見せてやった。散歩中の犬をじっと見ていた。はす向かいの一戸建ての窓に黒猫がいるのは気づかなかったようだ。
九時三十分、外出。ぬるまったい朝だ。三月下旬並みだと天気予報は報じている。梅を通り越して桜か、と思うが、もちろんどこにも咲いていない。目に入るのは山茶花や椿ばかりだ。ここ数日、椿を見るたびに『椿三十郎』の、椿の花を小川に大量に流すシーンを思い出してしまう。
今年初の打ち合わせを済ませ、十三時に帰社/帰宅。
午後はビビンバ弁当を食べてからあたふたと作業。意外に慌ただしい。
十八時過ぎ、いつもより若干早く仕事が落ち着いた。少し散歩に出る。やはり空気がぬるまったい。
夕食は珍しくハンバーグを食べた。
SANJURO - Trailer - HQ - (1962)