わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

山田詠美「箱入り娘」

「群像」2016年2月号掲載。語り手は五十代くらいだろうか、女性が貧しかった幼少時代を思い出しながら語る。舞台は高度成長期の、時代の波に取り残されたようなまずしい地方都市。化学工場が敷設され、その工場長の娘に、語り手の女性は翻弄されつづけるが、彼女のように箱入りであることに、やや屈折した憧れを感じ…。

 深刻なテーマかと思いきや、すべてをチャラにしてしまうようなラスト。なんだこりゃ、って感じでした。苦難と笑いを自在に行き来する感覚。その大きな運動やうねりが、この作家の持ち味の一つなのかもしれない。

 

群像 2016年 02 月号 [雑誌]

群像 2016年 02 月号 [雑誌]

 

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