わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

激昂/信頼/手際

 花子、また激怒である。
 部屋の片づけをしてたときだ。ぼくがリビングを出て廊下に立った。フニャンフニャンと鳴きつづける花子に声をかけようと、飛び出し防止用のパーテーションを退かした刹那、花子め一目散に飛び出した。そのタイミングで、カミサンがリビングから出てきた。リビングには麦次郎がいる。少しずつ慣らしはじめてはいるが、まだ会わせるのは早い。カミサンが花子を止めにかかった。慌てて抱きかかえ、ドアを閉める。そこまではよかった。いや、その慌てた動作がいけなかった。さらに言えば、家の中でガチャガチャ音を立てているのに、花子をケージに入れておかなかったのがまずかった。自由を奪われたと感じたのか、花子が怒った。激しく威嚇する。仕方ないので片づけを取りやめ、しばらく様子を見ることに。こんな状況では、話しかけもせずに放置するのがよいらしい。それが効いたのか、そもそも怒りの度合いが低かったのか、すぐにひとを恋しがるようになった。夕方には抱きかかえて撫でられるようになった。日記を書いている今は、キーボードとディスプレイの間でビョーンと伸びた格好でグースカと寝ている。ときたま静かに尻尾が動く。ぼくのキータイプの音に反応しているらしい。いつもとおなじだ。
 ニンゲンと猫のあいだにも信頼関係はある。それが今回は壊れなかったのがうれしい。
 麦次郎、花子の様子が気になったようで、はじめはリビングをうろついてはナーン、ナーンと鳴き叫んでいたが、すぐに眠りはじめた。大したことはない、と悟ったのか。花子の気持ちはドア越しにしか聞えない声でもしっかりわかるらしい。花麦の信頼関係もゆらいではいないようだ。
 
 夕方は義母と三人で環八沿いにできた広島風お好み焼きの店「藤」へ。店内は昭和レトロな内装。イメージとしてはベタだが、大村昆のオロナミンの看板や、夏目雅子のビールのポスター、若き日のカトケンのレトルトカレーのポスターといった懐しのポスターが貼られている。が、内装よりも店主の鉄板を扱う手際のよさに目を奪われた。関西風に比べたら異様に手間がかかるというのに、一度に五つもの広島風お好み焼きを手際よく焼く。ヘラの使い方が巧妙で軽快だ。自信があるのだろうが、どこぞの名店で修業を積んだ身なのかもしれない。手際よく焼けば、味も引き締まるのか。決してまずくはない。だが量が多い。周囲を見まわすと、残しているひとがちらほらと。
 義母宅でスイカ、桃をごちそうになってから帰宅。

 古井由吉『仮往生伝試文』。手違いで三途の川を渡った男。地獄に落ちるのは間違いとはいえ、間違える必要があったから間違えたのか。