わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

夜鳴/淡青

 花子の夜鳴きが日に日にひどくなっている。夕べは十二時半に寝たが、二時半に起こされ、三時半に起こされ、四時半に起こされ、五時に起こされ、五時半に起こされた。これはひょっとすると、花子がぼくを起こす回数は以前と変わらぬが、ぼくの眠りが浅いがゆえにすぐ起きてしまっているだけなのかもしれない。暑い夜はエアコンに頼るが、あの冷たい風は眠りを浅くする。人工的な快適さの限界ということだろうか。
 
 七時、事務所へ。朝の空は色が淡い。あの青さは、気温の高さに比例するのだろうか。空が薄いからかはわからないが、雲がだらりと弱々しく見えた。沸き上がるような入道雲が見たい。
 某健食会社の企画、ITベンダーのPR誌など。二十一時、店じまい。

 花麦、パーテーションをはずして直接対面でゴハンにしてみた。互いに敵意はない。麦次郎はいくぶん緊張気味だ。花子は緊張すらしていない。やたらと麦次のゴハンの器を気にする。麦次は花子と目が合うとちょっとあとずさりだ。あとはいつものように、風呂場やらリビングやらに気がそれてしまう。ふらふらしているのは、花子と目を合わせるのが照れ臭いからか。
 
 奥泉光『石の来歴』より表題作を読みはじめる。芥川賞受賞作。
 
 
 
 

奥泉光『石の来歴』
石の来歴 (文春文庫)