わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

リービ英雄『仮の水』

「老国道」読了。おおらかな農村の裏側に潜む戦争の記憶。偶然直面した他者の死という現実がそこに重なり、主人公と中国人観光ドライバーの乗るアウディの走りは、逃げるようになってゆく。
 リービさんの作品、疎外感を感じて当然といった状況に身を置いたまま、という状況が多いような気がするが、本作といい「仮の水」といい、状況からの逃避逃走が試みられているように読める。ただし、どんなに逃げても心は重いまま。何ひとつ解決はしない。

仮の水

仮の水