表題作、読了。
作品を包む闇は、深い。その深い闇の中で、妻の死と経営する会社の倒産という苦しみを抱え込んだ主人公は、知らず知らずのうちに、幻想的な逃避の迷路にはまりこんでゆく。混乱する思考、感覚、記憶、感情。しかし、なぜだろう、その先には不思議なことに、逃避には違いないのだろうが、妙な希望のような感覚がわずかに見える。松浦さん、どうしてこんなラストにしたのだろう。
問題から目をそらさずに逃げる姿勢、とでも言おうか。それさえあれば、いくら逃げても、最後には、希望にたどり着けるのではないか。そんなことを考えつつ、読み終えた。
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