「クレーンクレーン」。おそらくは古井さん自身がモデルと思われる語り手の住む集合住宅が修繕工事のためにすっぽりと幕に覆われてしまう。見かけた工事用のクレーンの鶴に似た姿のイメージが、その後の語り手の頸椎の手術による入院体験、そして友人青山の入院体験に、ほんの少しだけ重なり合う。重なるというよりは、入院の悲愴さに潜んだ奇妙な「笑い」を、クレーンが引っ張り上げているように読めた。
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