「新潮」2015年10月号掲載。世田谷の十一階建て集合住宅に住む語り手(たぶん古井さん本人…というのは、本作は小説というより限りなくエッセイに近いので)が、偶然耳にした時鳥の声。そこに過去の、さまざまな人の、そして自分自身の、不安の記憶が重なり合う。だからといって、語り手は不安に陥ったりはしない。ただ冷静に、老いた者として記憶をたどり、振り返り、現代(を生きる自分)との接点を、それとなく探しだそうとしているように読めなくもない。
「新潮」2015年10月号掲載。世田谷の十一階建て集合住宅に住む語り手(たぶん古井さん本人…というのは、本作は小説というより限りなくエッセイに近いので)が、偶然耳にした時鳥の声。そこに過去の、さまざまな人の、そして自分自身の、不安の記憶が重なり合う。だからといって、語り手は不安に陥ったりはしない。ただ冷静に、老いた者として記憶をたどり、振り返り、現代(を生きる自分)との接点を、それとなく探しだそうとしているように読めなくもない。