わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

古井由吉「明日の空」読了

 古井さんにしてはめずらしく、希望にあふれる終わり方。読後に広がるのは、タイトル通り「明日の空」だ。絶望というのではない。悲しみというのでもない。ただ何か、決して喜ばしくはない何かに、かすかに翻弄されながら、そして自分の意志をゆらゆらとゆらめかせるようにしながら、幼児も、老人も、生きる。残されている人生は、少ないかもしれない。それでも、誰もが、明日を見る。

新潮 2012年 10月号 [雑誌]

新潮 2012年 10月号 [雑誌]

古井由吉の作品はこちら。近作では『蜩の声』が傑作。必読。
「古井由吉自撰作品」が刊行中。持っていない(=読んでいない)作品が入っている巻だけ買ってます。