わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

大澤真幸「〈今の時〉に満たされた時間 「歴史の概念について」をめぐって」

 「群像」2020年10月号掲載。読了した。

 過去の事実に、現在における大きな歴史的変化や事件の「片鱗」や「兆候」を見出すこと。この、バックキャスティング的な歴史観史的唯物論、ということになる、のかな。そして、この構造は、実は「最後の審判」とおなじ「過去へのまなざし」によるものである…という考え方は、まさに著者のライフワークになっている「〈世界史〉の哲学」にもつながっている。
 著者はスターリン主義における進歩史観や歴史主義もまた、実は「最後の審判」的構造の呪縛を受けているという。ただし、史的唯物論とは決定的な違いもある。それが、最後の審判の視点自体が固定的ではなく、常に闘争の過程にある、という点。スターリン主義なら真の共産主義社会の確立、ということになるのだろう。それは固定的な概念であり、変化はしない。しかし史的唯物論ではそのゴール的な位置そのものが流動的、ということ…という解釈でいいのだろうか。よくわからなくなってきたよ。

 

 

群像 2020年 10 月号 [雑誌]

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  • 発売日: 2020/09/07
  • メディア: 雑誌
 

 

 

 

 

[新訳・評注]歴史の概念について

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