わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

恢復するペン先

 七時起床。いや、六時三十分には目覚めたのだが、ぼくの枕元でいつ起きるのかじっと待っている花子の視線を感じながらも、ぼへーっと意識が散ってしまってなかなか起き上がることができなかった。
 昨日に引き続き、今日もめずらしく打ち合わせがない。午前中は自転車を飛ばしてちょっとだけ病院へ。坂道が多かったせいか、Tシャツがたちまち汗でにじんできた。帰りがけに西荻窪のパン屋「ムッシュ・ソレイユ」に寄る。
 黙々と愛用の万年筆、昨日帰ってきた「ザ・センチュリー」をつかってあれこれアイデアを出しつづけた。午前中は、線を引くとたちまち紙にひっかかった。今までの、あふれ出るインクが紙とペン先との摩擦を飲み込むのか、するすると滑るように書ける感覚がまるでなくなっている。だが時折、修理されたペン先の形と筆を運ぶぼくの手の角度が合致するのだろうか、摩擦がなくなり、するりと文字や線が書ける瞬間がある。修理前の書き味が、ほんの刹那ではあるが甦る。気をよくして書きつづけてみる。アイデアを考え、出すあいだは書き味にはほとんど気持ちが向かわないが、それでも、ふと手元が朝方よりも快適になっていることに気づく。書き味を悪くしているのはほんのすこしのバリのようなものだったのだろうか、それが書くことによって摩耗したのか、わずかに、わずかに、おそらくはほんの数ミクロンずつ、ペン先がかつての書き味を取り戻してゆく。
 夕方から空模様が変わってきた。空が茶色く染まりはじめた。暗くなった、と感じるや否や、北の空に、上から下に向かって稲光がカクカクと折れ曲がりながら伸び、一瞬で消える。重病ほどすると、ゴロゴロゴロと雷鳴がとどろく。東寄りでなったかと思えば、すこしずつ音が西へ移動しながら消えてゆくこともある。いつ降るか、これは嵐になるだろうと勝手に天気を予報してみたが、雨はほとんど降らなかった。
 夜はドラマ「ブスの瞳に恋してる」を久々に見る。