「群像」2月号掲載。等身大なのにぶっ飛んだ内容の小説を書かせたら、舞城か海猫沢か、ってなくらいぼくはこの作家を高く評価している。
中卒の童貞豚鼻ホスト(十六歳)がはじめて付き合った相手は、性同一性障害の元男性だった。彼女を理解し愛するために、豚鼻は新宿二丁目のハッテンバというのだろうか、同性愛者が集う銭湯で……。
愛するというのはどういうことなのか、そもそも愛とはどのように生まれ、維持され、高まるのか、という文学的命題に、とんでもない変化球で挑んでいる。が、文体と設定がとんでもないだけであって、書かれていることはさほどぶっとんでいない。とても文学らしい作品、あるいは小説らしい作品だと思う。
- 作者: 海猫沢めろん
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/01
- メディア: 文庫
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