わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

中上健次『鳳仙花』

 主人公のフサは、故郷の古座を離れ、新宮の材木屋・佐倉の家で奉公をはじめる。荒くれた男たちや不景気のまっただ中にあるというのに強気な商売をつづける佐倉の鼻息の荒さにフサは気圧され、漠然と故郷を恋しく思う。新宮に向かう道(といっても船で行ったのだが)では期待と不安が半々だったのが、新宮につくとたちまち不安でいっぱいになる。その、少女の心理描写が海などの情景を通じて巧みに描かれている。

鳳仙花―中上健次選集〈4〉 (小学館文庫)

鳳仙花―中上健次選集〈4〉 (小学館文庫)

枯木灘 (河出文庫 102A)

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十九歳の地図 (河出文庫 102B)

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