わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

大江健三郎『水死』

 第九章「晩年の仕事(レイト・ワーク)」。「水死小説」を書くことができず、そして息子・アカリとの関係も壊れて(壊して)しまった古義人の、故郷の「森の家」でのグダグダした日常が、アカリという外部を軸に語られている。

水死 (100周年書き下ろし)

水死 (100周年書き下ろし)


大江健三郎の作品はこちら。一般的な評価が高いしぼくも最高傑作だと思うのは『万延元年のフットボール』だが、ぼくが個人的に好きなのは『懐かしい年への手紙』と『M/Tと森のフシギの物語』。特に前者のラストシーンは、日本文学史上最も美しいと思っている。