わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

不完全の美

 十七回目の結婚記念日の朝の太陽が、結婚指輪のように輪になることになった。いつもよりやや早い五時五十分に起き、晴れろ晴れろと曇り空に念を飛ばしながら身支度。テレビを付けてみると六時二十分ごろから日食は始まると報じている。手元にある日食ガイドブックのような小冊子を見ると、たしかにそう書いてある。終わるのは九時五分頃だ。アマゾンで買った日食グラスを持って、ゴミ出しついでに空を眺めてみると、確かに少しだけ欠けはじめている。つい先日に月食があったが、グラス越しに見る曇天の太陽はあの月とよく似ているのだが、星の関係がまったく違っている。あの日は月が隠れた。今日は太陽が隠れる。あの日は太陽がつくった地球の影が隠した。今日は月が隠す。しかし隠しきれずに、少しだけ余らせる。つまり、不完全の美。偶然が生み出す、不完全の美。

 七時三十五分頃、ついに金環となった。光は薄い雲に隠されつつ不安定にゆらぎながらかすれ気味に金色の光を放つ。かすれても、まばゆい。肉眼で見ればたちまち視力は奪われ、恢復にはしばらくの時間が必要になるだろう。その間に、金環は消えてしまうに違いない。
 周囲は夕暮れ時のように薄暗い。野生の動物たちは、この天体現象をどう思っているのだろう。いや、どう捉えどう反応しているのだろう。思考ではなく、野生の反応、反射が知りたい。
 仕事。猛スピードで今日締切だったパンフレット二件のコピーを書き上げ、やれやれ、と一息付き、某企業のコーポレートスローガン開発に着手しはじめたところで、某代理店から電話。事態が急変。明日は早朝からバタつくことになってしまった。営業的な顔出しのアポを一件入れていたのだが、申し訳ないと思いつつもキャンセルしてしまった。