わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

ジャミール・アフマード/池辺晴彦訳「母の罪」

「新潮」十月号掲載。著者は元パキスタンの公務員で、パキスタン/イラン/アフガンの国境地帯に勤務したこともあるらしい。本作の舞台はこのエリア。いつの時代なのかはわからないが、第一次大戦後であることはたしからしい。不貞を犯した女が男とともに砂漠を逃げ、軍隊の基地の一角を借りて生活をはじめるが、結局は部族の者たちに追われ、女も男も命を失う…。
 文化や思想がまるで異なる国が舞台だから、何もかもが新鮮。感情を排した、まさに砂漠のような文体が、妙に心に突き刺さる。必読。

新潮 2012年 10月号 [雑誌]

新潮 2012年 10月号 [雑誌]