第四話「自殺者のメモ帖」読了。主人公が古本屋で見つけ、読了後に「こんな内容の本をわたしだけが読むのはもったいない」とふたたび買い求めた古書店に返した「自殺者のメモ帖」という小冊子は、実は古書店の主人が書いたものらしい、というところで物語は終わる。書かれたことが事実なら、なぜ主人は自殺せずに生きているのか。小冊子を書いた青年は、自分が現実という名の幻想の中に生き、夢想という名の現実の中ではマリ・マドレーヌと常に結ばれている、と考えている。ならば、死ぬことで現実=幻想を破壊しても、生きることで現実=幻想を存在させつづけても、夢想世界は関係なく存在しつづけ、彼はいつでもマリ・マドレーヌと会うことができるからか。……前向きな逃避だ。
第五話「メラニーという女」を読みはじめる。