死が苦しみなのか、生が苦しみなのか。詩人のコトバ、すなわち詩は、個人的な生と個人的な死のあいだでもがくようにつながり、そのつながりの中に、あるいはつながりの外側にある、苦しみの本質を見抜こうとする。比呂美ねーさんは救いをもとめることすら、実は苦しみをともなうのだ、と言っているような気がしてならない。もっとも、この読み方はぼくの今の精神状態を反映しているだけなのかもしれない。本作は、定期的に読み返すべきだろう。生/苦しみ/救い/死/詩=コトバ、ということを、生涯にわたって考えるために。
- 作者: 伊藤比呂美
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/06/12
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 56回
- この商品を含むブログ (56件) を見る