モリゾというと、マネやモネに隠れた印象派のオマケ的なイメージしか持っていなかった。そんな先入観を抱いたまま、招待券があるからという理由だけで会場に突撃し、最初の十数点を観てやや失望し、それでも全部観とかなきゃ、と思いながら先へ進んで、「淡いグレーの服を着た若い女性」の服と背景の溶け込む感覚にちょっと惹かれ、「桜の木」の萌える緑に目を奪われ、「庭のウジェーヌ・マネと娘」の庭園の深い緑に引き込まれ、「寓話 または 乳母と赤ちゃん」に満ちた優しい光と色彩に癒されたような気分になった。が、ぼくはやはり印象派のなかではモリゾは凡庸な画家だと思う。これら以外の作品には、少々厳しい感想を抱いてしまった。
ついでに常設展へ。ゴッホの「ひまわり」が目玉。オリジナルを観るのははじめてなのだが、禍々しささえ感じさせる異様な色彩感覚に圧倒された。中央に「ひまわり」があり、ゴーギャンの「アリスカンの並木道 アルル」、とセザンヌの「りんごとナプキン」に挟まれているのが、完全にこの二枚を存在感で食ってしまっている。セザンヌは単独で観たらかなりの傑作だというのに、ゴッホの前では印象が霞む。うーん。