ベテラン女性詩人による短編小説集。詩人が書く小説には比呂美ねーさんの『ラニーニャ』など秀作が多いが、そういった先入観なしに読んでみたい。
表題作「タタド」。壮年の夫婦のもと、妻のかつての同僚の大腸癌を患う男と夫の仕事仲間の女優が訪れる。淡々とした描写の中に、ひっそりと死のイメージが紛れ込む。死を通じて描かれる四人の生の断片、とでも言おうか。
三人称多元描写で描かれている。とっちらかってしまうことが多いのでフツーの作家はこの形式を好まないが、小池は整然と視点をずらすことで多元描写に成功している。
昨日まで読んでいた『ロック母』は、しばらくお休み。今の自分の精神状態や考えていることに合致しないから。
- 作者: 小池昌代
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
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