わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

堀江敏幸『おぱらばん』

 この作品、知らなかったが三島賞を受賞しているとのこと。ということは、エッセイを小説として読む感覚、というよりはこの作者めニセエッセイ書いてやがる、ホントは小説だろコレは、というひねくれた視点から読んでいたのだが、それは間違いで、これはやはり小説ということ。はははは。
「洋梨を盗んだ少女」「貯水池のステンドグラス」。作中で、教養ある者の視点からもっともらしく紹介される芸術家や小説家、詩人のたぐいは、実はみな架空なのかな。だとしたら、この作品は堂々と架空の書評を展開したレムの『完全な真空』や『虚数』に優とも劣らぬ奇書、ということになるかな。