「睦月--おおきくなつたら」。離婚問題。というよりも、パートナーが好きじゃなくなっちゃった、という悩み。
この作品、読むほどに戸惑う。男であるぼくが女の更年期の悩みを読むことに対する戸惑い、そして、人生相談文学という新ジャンルに対する戸惑い。昨日の日記にも書いたが、本作では悩みに至るプロセスや解決のプロセスなど、フツーの文学作品では丹念に描かれる部分が省略される。人生相談が基盤なのだからそれで当然なのだが、読者としては、そこに戸惑っちまう。読むということは、作品世界を読み手のイメージの世界に構築する作業なのだが、人生相談に寄せられた相談内容からは、漠然とした悩みや苦しみのイメージが想起されるだけで、空間的・物語的(時間的)にイメージが確立されていく感覚は残念ながら、ない。これは、悩みや苦しみを積み上げるように作品を書いてきた詩人・伊藤比呂美の新境地なのかな、と思いながら、詩とか小説とか相談エッセイとか考えずに読んでいる。晩期の宇野千代も、この境地だった? 読んだことないけど。
と、昼間は思っていたのだが、風呂に入っていたら、これは小説なのかもしれない、と思えてきた。なーんて書くと小説嫌いの比呂美ねーさんから叱られそうだけど。一方、「『女の絶望』は小説である」という主張、高橋源一郎さんあたりが言い出しそうだな。
なぜそう思ったのかは、明日。
- 作者: 伊藤比呂美
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- 作者: 高橋源一郎
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1997/06/27
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