後藤明生の、「海燕」に連載していた未完成長編。高度成長期のオッサン的な(今の時代からはちょっとズレた、ともすると「さむい」と言われかねない)ユーモア、自虐的表現、博学的迷走。そんな後藤明生ならではの魅力を期待してずいぶん前に購入したのだが、ずっと読んでいなかった。
大阪に単身赴任している(千円札が夏目漱石だった時代の)五十代サラリーマンのオッサンが、東京駅のエスカレーターで、大阪のマンションの上の階に住む新聞記者の男を見かけ、やあ!と声をかけたら他人だったにもかかわらず、向こうからも、やあ!と声をかけ返されて、そのやりとりがおもしろくて自分で爆笑、というエピソードから本作ははじまる。うう、軽すぎる。でもおもしろい。ま、まだこのあとどうなるか、全然わかんないけどね。
後藤明生の作品、Kindleでたくさん復刻されてるんだね。知らなかった。好きな作家だが、全作品を読んでいるわけではないので、これを利用して読もうかな。Kindleはいちおう持ってることだし(一番安いモデルだけどね)。
小説??いかに読み、いかに書くか 後藤明生・電子書籍コレクション
- 作者: 後藤明生
- 出版社/メーカー: アーリーバード・ブックス
- 発売日: 2014/12/09
- メディア: Kindle版
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