わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

高橋源一郎『動物記』

「そして、いつの日にか」。結核にかかり、病床に伏しながら船旅をつづける二葉亭四迷が柴犬化している(笑)。二葉亭は朦朧とした状態で漱石の幻影を目撃し、その幻影と、言葉の本質や人と犬の関係について語り合う。

 二葉亭という近代文学を、そして文学の口語化を語る上で書かせない人物を人間の外側にいる存在にしてしまうことで、言語の抱える問題、あるいは近代日本における日本語の問題、さらには外国と日本の関係の問題といったややこしいテーマを、ふざけつつ逆に深く掘り下げて考察できるようになってしまっているのは、狙ってやっているのか、それとも偶発的に成功したのか。どっちでもいいけど、スゴイなあ。

動物記

動物記

 

 

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