「群像」2015年7月号掲載。ディエゴ・ベラスケスという画家が描いた、鏡ごし王の肖像を描いた「ラス・メニーナス」という作品を出発点に、西洋の王制に固有な、国王の身体の二重性(国王二体論)という特性について考察している。私的な人間としての国王=自然的身体、そして公的な支配者としての国王=政治的身体。政治的身体は、身体であることによって、自然的身体のうちにある。しかし同時に、自然的身体に還元できない、それ以上のものでもある。あくまで身体であり、神に指名された存在ではあるものの身体をもった存在として為政を行うという点が、現人神としての天皇をはじめとする他の文化の、神の分身としての、霊的な存在としての王の存在(身体と霊の二重性)とはまったくことなっている。なぜ西洋でのみ、このような政治神学が生まれたのか、は次号で考察するんだって。
なんだか、ツナギっぽい感じの回でした。