タケオはオカマにダマされるようにして、徳川家の血を引いているらしいマダムに事実上売り飛ばされてしまう。だが彼はエレベーターで偶然出会ったジゴロの青年に、もしジゴロになったら大人気になる、とその才能(っていうのか?)を見初められた。これも中本の血。
中上は、古井由吉なんかもそうだが、一つの作品を何十年にも渡って延々とかきつづけているような感覚。中上の場合、全体でひとつの物語というわけではないからどれか一つ二つ読まずにいても全体像ははあくできる。だが、しっかり読んでおきたくなる不思議な魅力がある。