「群像」2020年7月号掲載。
私的空間と展覧会場という公的空間の境界線をぶち壊すようなインスタレーション・アートと、新型コロナウイルスの関連性。
グレゴール・シュナイダーの“u r 1 und 14, SCHLAFZIMMER”という作品が紹介されている。シュナイダーの公式サイトから拝借。小さくてよくわからないかもしれないけれど、展覧会場のドアを開けると、いきなりプライベートな(しかも、むちゃくちゃシンプルな)寝室そっくりのインスタレーション。他人から観たら、息が詰まるような閉塞感。ぼくは「新世紀エヴァンゲリオン」に登場する綾波レイの部屋を思い出してしまった。観る人は誰かの部屋に間違えて入ってしまったのではないか、と勘違いしてしまう。他を排除するという私的な空間性が公的な空間を侵食する感覚は、新型コロナウイルスによって変わりつつある社会の新しいカタチの、陰の部分の暗喩と解釈することもできそう…この作品は1986年のものだけど。
https://www.gregor-schneider.de/press_photos/