わたしが猫に蹴っとばされる理由

文学・芸術・哲学・思想の読書&鑑賞日記が中心ですが、雑食系なのでいろいろ取り上げてます。猫もいるよ♡

鷲田清一「所有について」(9)所有権とそのあらかじめの剥奪

「群像」2020年11月号掲載。
 
 詩人・石原吉郎の昭和21年の中央アジア強制収容所での、わずかな食事を二人で分け合った際の、緊張感が最高に高まった状態で平等な分配を実現したという経験の描写から、所有という概念が、上位審がない場合は共生と敵対・憎悪が共存したまま、互いの関係を維持し合うという微妙なバランスから成り立つことを解説し、そこから「所有」を認めるということについて考察している。所有権と「わたし」という概念は切っても切れないはずなのだが、実はこの「わたし」とは、わたしだけの概念ではないという考え方から、所有と契約の本質について導きだそうとしている。石原の経験など非常に興味深いのだけれど、今回は特に難解だったなあ。
 

 

群像 2020年 11 月号 [雑誌]

群像 2020年 11 月号 [雑誌]

  • 発売日: 2020/10/07
  • メディア: 雑誌
 

 

 

二枚腰のすすめー鷲田清一の人生案内 (教養みらい選書)

二枚腰のすすめー鷲田清一の人生案内 (教養みらい選書)

  • 作者:鷲田 清一
  • 発売日: 2020/06/10
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 
「待つ」ということ (角川選書)

「待つ」ということ (角川選書)

  • 作者:鷲田 清一
  • 発売日: 2006/08/31
  • メディア: 単行本
 
「聴く」ことの力

「聴く」ことの力