鷲田清一
五時四十分起床。桜が散ったかと思えば、もう初夏の色が濃くなってきた。しかし空の色のほうは相変わらず霞みながら拡がるようで、春の曖昧さと微妙さを引きずり続けている。家のなかは東側や南側と北側とで室温がまるで異なり、東に面したリビングではついT…
五時四十分起床。真冬の冷えは感じないが、つい惰性で暖房を付けてしまう。一時間も経たぬうちにきってしまうのだから無駄な気がするが、どうなのだろう。 今日は休日に。花粉症がぼくよりもひどい妻は外出せず引き籠もると宣言している。ぼくは午後からラン…
今朝も五時四十分起床。建国記念の日。休日だが、朝のうちだけすこし仕事した。 午後からは外出。雪は日陰にはまだしぶとく残っているが、大半は溶けてしまったので歩きやすい。 妻と新宿へ。店の中は人が多いが、電車は閑散としていた。あれこれ買い物をし…
「群像」2020年12月号掲載。 所有権(事故固有性)とは、その本質とは何か、の考察。ロックからヘーゲルまでさかのぼり、「身体性」という問題から所有について考察している。身体は自分自身のようであって、実は完全なコントロールができない、その構造や状…
「群像」2020年11月号掲載。 詩人・石原吉郎の昭和21年の中央アジア強制収容所での、わずかな食事を二人で分け合った際の、緊張感が最高に高まった状態で平等な分配を実現したという経験の描写から、所有という概念が、上位審がない場合は共生と敵対・憎悪が…
「群像」2020年10月号掲載。 占有という概念が所有へと変化するプロセスにおいて、そこに「黙契」という概念が生まれている、と著者(というか今回の鍵となる『人間本性論』を書いたヒューム)は述べているのだが、「黙契」が誕生する原因となっているのが、…
五時四十分起床。昨夜は走る予定だったがカミナリで断念。ところがたいして雨は降らず。とはいえ稲光と雷鳴のなかを走るのはちょっとコワイ。でも走ればよかったかな、なんて思っていたら今朝はまったく降っておらず、無論カミナリもなく、おまけに涼しい。…
五時四十分起床。晴れ。コジコジが機嫌よくさえずっている。いや、さえずりではなく叫びか。久々の朝日に昂ぶっていることが声の大きさからよくわかる。 午前中は掃除に専念。 午後は妻と吉祥寺へ。きちんと買い物に行くのは三ヶ月ぶりくらいか。まず吉祥寺…
「群像」2020年5月号掲載。ジョン・ロックの『統治二論』に記された《所有〔権〕論》を、言葉の意味や定義を、英語の原文まで引用しながら丁寧に紐解いている。ロックの原文では、「所有(Property)」という概念は明確に定義化されているわけではなく、章ご…
五時四十分起床。晴れ。暦のうえでは連休の初日だが、別の意味で特別な期間に突入することになる。毎年この時期は休日返上で仕事していることが多い。今年は例年よりはマイペースに働くことになる。 仕事。某案件の企画書。昨日急遽オーダーされた別案。クラ…
「群像」2020年4月号掲載。 「所有」とは帰属のことであり「もつ」とは合致しないという問題から、ヨーロッパ系のさまざまな言語の語源や、名詞・形容詞・副詞などへの変化、意味の派生などから、「所有」とは何かを掘り下げている。property《所有〔権〕》…
「群像」2020年3月号からの新連載。文芸誌から「文×論」の方向に大きくリニューアルしたこの雑誌の、ひとつの決意表明のような立場にある連載だと思う。 シェアリングという新しい概念が登場して資本主義の形が少しずつ変わろうとしている一方で、貧富の差は…