五時四十分起床。雨音が低く強く響いている。朝日を感じない朝というのに少しだけ違和感を覚えたが、冬なら当たり前のことだし、雨が降れば今の季節でもおかしいことではない。なのに奇妙な感じがするというのは、朝日に慣れすぎたというよりも、焦がれすぎているということなのかもしれない。
仕事。某案件の原稿をデザイナーに送付してから、少しだけ事業計画。ここ数日、ちょっと思うところがあって、少しずつ計画を練っている。今とは違った方向で、今とおなじように、あるいはそれ以上に、言葉というものを使って、社会をよりよいものにするために一生懸命ビジネスをしている会社の役に立てないかな、ということを考えている。それで稼ぐ。今の広告や販促の仕事と領域的には同じだけれど、ほんの少しだけベクトルをズラした、でも全然違うことになるかもしれない仕事。
十時ごろからは進行中の別の案件。こちらはこちらで、言葉を生み出し続ける作業を思い切り楽しんでいる。だが夕方頃、ある部分の訴求ポイントと構成がまったく見えなくなり、一時間ばかり迷ってしまった。ま、こんな時の打開方向も自分なりに身につけてはいるので大丈夫なのだけれど。
十九時、業務終了。雨なのでウォーキングには行けず。
夕食は妻が、鶏肉を味噌漬けしておいたものにチーズをかけて、ジャガイモとトマトと一緒に焼いてくれたものを食べた。和洋折衷でおもしろくておいしい。これはまた食べたい。
保坂和志「鉄の胡蝶は記憶の夢に歳月に彫るか(46)」(「群像」2022年6月号掲載)。先入観、区別、支配。