「群像」2022年10月号からの新連載。弱さが肯定されされる(というよりも、弱さを認め、助けることが常に求められる)風潮がある現代において、弱さの肯定をどこまでくぐり抜け、向き合い、受け入れる準備ができているのかを、哲学的に問い、答えを探す試み。第一回は、その出発点として「クラゲ」という弱い存在の、海という環境における強さというパラドックス(って言っていいのかな)について言及している。弱い生命体である印象なのに、実際には大量発生によって人を困らせたり、毒を盛っていたり、他の生物に捕食されることが少ないので実は食物連鎖の頂点にいるとも言えたり、とクラゲが強い存在であるとも言える点から、現象学的に考察を展開し、人間とクラゲは(そして他の動物たちを含める、あらゆる「他者」は)、同じ世界にいるように見えながらも、「主観・主体」という視点から見れば、まったく異なる世界(この場合は「環境」って言い換えてもいい気がする)を生きている、と考察している。おもしろい!