五時四十分起床。台風一過。明るい日差し、カラリとした空気。この雨で紫陽花は一気に花開き大きくなった気がするが、一方で子育て中だった野鳥たちのその後が気になる。自然の摂理、仕方ないといえば仕方ないわけだが。
午前中はせっせと掃除。午後は義父母宅へ。とうもろこしをいただいてきた。義母は妻とピクミンウォークの話で盛り上がっている。
夜はランニングへ。12km。明るい月、涼やかな夜風。明日は満月だそうだ。
石沢麻依『貝に続く場所にて』読了。東日本大震災は都市開発や文明文化の歴史の人との大きな節目であり、長い目で見れば風化はやむを得ないのかもしれないが、少なくとも数十年の間は人々の記憶に確かに刻まれ、被害跡は展示物や記録として編集され残り続けると思っていたのだが、この作品で描かれているのは、現実と記憶、現実と記録が曖昧になった世界だ。ぼくが「残る」と思い込んでいたのは、実は史実だけであって、その背後にある大量の人々の想いやそれまでの人生は、曖昧のまま残ったり消えかけたりを繰り返しつつ、少しずつ失われていく。その、失われていくものが本作では描かれている。ただ、失われることは、曖昧に引きずる悲しさに決着を付けるということにつながる。その、やや不器用な決着の流れ、ナリユキこそが、ぼくらが伝えるべき、守るべき、ものなのかもしれない。ここで役立つのが文学というジャンルなのだろうな。