初期なのかな? の「死」をテーマにした短篇集。横浜の行き帰りで読んだ。
死という、陳腐ではあるが、おそらくはどんなに掘り下げても掘り下げきれないテーマを、小川洋子らしい、淡々とした悲しみに包まれた文体で、偏執的な出来事として「死」を描いている。死にこだわると言うよりは、死に方にこだわるとか、死ぬ前の記憶にこだわるとか。そのこだわりが、悲しみに包まれる。冷静で冷酷、しかし、だからこそ血が通っているように思える、逆説的な悲しみの描写。巻頭に収められた「洋菓子屋の午後」は傑作だと思う。
- 作者: 小川洋子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2003/03
- メディア: 文庫
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