「新潮」10月号掲載。おそらく著者の最高傑作、そして最後の長篇という触れ込み。確かに、年齢的には最後かもしれないなあ。大江さんも『晩年様式集』は最後の長篇のつもりで書いていたようだし。
東京郊外の美術大学のある街の河原で、女性のバラバラ殺人事件が起きる。その十数日後、大学のある街のベーカリーに、臨時アルバイトの美大生が焼いたパンが並べられ、大反響となりテレビにも取り上げられてしまう。そのパンは、バケット。形はなんと、バラバラ殺人事件の現場に落ちていた腕とそっくり同じ形をしていた…。
淡々と、最低限の描写でストーリーが進んでいくので、内容ほどグロさは感じない。