新猫・葵の鳴き声で夜中に何度か目が覚めたが、どうやら大人の男の人とはほとんど接していなかったらしく、ぼくの姿を見ると萎縮し隠れてしまうので、気になったからといって様子を見ても逆効果になるのを恐れ、こちらまで萎縮し及び腰になってしまう。子猫独特のか細く小さな鳴き声はそう何度もつづかず、放っておけばすぐに鳴き止む。あの声は、つまらないと言っているのか、さみしいと言っているのか、それとも腹が減っているのか。まだそこまではわからない。二十年いっしょに暮らしつづけた猫を失ったあとだから、なにかと戸惑いは多い。前の猫はこうだったから、というわけにはいかない。
五時四十五分起床。
午前中は某案件の企画。企画というより分析に近い。
昼食後、外出。税理士の事務所に年末調整の書類を届けてから、小石川で新規案件の打ち合わせ。代理店の課長がブラックコーヒーが苦手、という話でなぜか盛り上がった。
新宿で店舗を視察してから帰社/帰宅。ぼくが不在のあいだは、葵はノリノリだったようだが、帰ってくると怖がってしまう。長い時間をかけて慣れさせるしかなさそうだ。
夜、女芸人のM-1みたいなのを少し観た。アジアンとニッチェはおもしろかった。
読書は金井美恵子『カストロの尻』。「「孤独の賛歌」あるいは、カストロの尻」。この作品集は映画を題材にしていることが多いのだが、本作は導入が「007ゴールドフィンガー」。金粉ショーで稼ぐ男性とそのビジネスパートナーの女性の人間関係。風呂で読んでいるのだが、途中で湯船につかったまま寝てしまったので途中からよくわからなくなっている。この作品集に収録の他の作品よりも、ちょっとだけ文体が軽い。